豊かな人生100年時代の仕組み構築

エネルギー高く生きようぜ

「痛くない死に方」から学ぶ、“人生の終わり方”を考えるということ

昨日、函館市民会館で映画『痛くない死に方』の上映会と、その後にトークセッションがありました。

この映画は、在宅医療をテーマにした作品で、人生の最期を「どこで」「どう迎えるか」を問いかける内容です。原作者である長尾和宏先生と、地元・北美原クリニックの岡田晋吾先生によるトークでは、医療現場のリアルな話に加え、“豊かな人生100年の仕組みづくり”にまつわる多くの気づきがありました。

映画を見終えたあと、深く心に残ったのは、「人は、最後に苦しんで死ぬのか、それとも、苦しまないで逝けるのか」という問いです。これは他人事ではなく、いずれ私たち一人ひとりが向き合う現実です。


豊かな100年人生に欠かせない
「最期の選択」

私はこれまで、「豊かな人生100年の仕組みづくり」をテーマに、健康体操教室や講座を通じて多くの方と関わってきました。その中で、健康寿命を延ばす運動や習慣についてお伝えする一方で、「人生の終わり方」についても、同じくらい大切に考えるべきテーマだと強く感じています。

いくら体が元気でも、「どう死にたいか」「どこで最期を迎えたいか」ということを決めておかなければ、自分の望まない形で最期を迎えることになりかねません。


覚えておきたい二つのキーワード

1. リビングウィル

これは「生きているうちに、自分の意思を明確にしておく」ための文書のことです。たとえば、「延命治療は望まない」「人工呼吸器は使いたくない」といった自分の考えを残しておくことができます。

しかし、私がこれまで介護の現場で見てきたなかで、リビングウィルを準備していた方に出会ったことはほとんどありません。
その結果、ご家族が「治療を続けるべきか、やめるべきか」と深く悩み、後悔や迷いの中で判断を迫られている姿を、何度も目にしてきました。

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2. 人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)

人生会議とは、「もしものとき」に備えて、本人と家族、医療や介護の関係者が、あらかじめ希望する医療やケアについて話し合っておくことです。

この会議の最大のメリットは、いざというときに「本人の希望」に沿った判断ができること。そして、家族が迷いや葛藤から解放されることです。

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人生の終わり方を決めるのは、自分自身

「そんな話はまだ早い」「縁起でもない」と感じる方も多いかもしれません。

しかし、人生の最期について考え、元気なうちに話し合っておくことはとても大切です。むしろ、今が元気だからこそ、冷静に意思を示すことができるのです。

私が実際に介護現場で何度も経験してきたのは、本人が意思表示できない状況になり、ご家族に判断がゆだねられるケースです。

そのような場合、ご家族は「何が正しいのか」「本人はどうしてほしいのか」がわからず、混乱してしまいます。家族間で意見が分かれたり、中には、施設の介護職員に「こういうときは、どうしたら良いのでしょうか?」と相談される場面もあります。

また、娘さんや息子さんが「お母さんには長生きしてもらわないと!」と願えば、日本の医療ではさまざまな延命治療を選択することも可能です。

ただし、主治医によって方針は異なります延命治療を積極的に勧める医師もいれば本人の体への負担や尊厳を重視し、延命を控える提案をする医師もいます

だからこそ、大切なのは「自分自身の判断」「自分の意思」を明確にしておくことです。

それが、人間としての尊厳を守る第一歩ではないでしょうか。


「元気なうちに話す」ことが大事

おすすめなのは、お盆やお正月など、家族が自然に集まるタイミングです。
特別な準備をしなくても、「もし自分がご飯を口から食べられなくなったら、、、」といった話題を少しずつ出してみるだけでも、立派な“人生会議”になります。

体操や運動、バランスのよい食事、社会とのつながり……。これらはすべて、豊かな人生100年をつくる大切な要素です。
そして、その先にある「人生の終わり方」をどう迎えるかという視点が加わることで、より安心して自分らしく生きることができると私は思います。

「リビングウィル」や「人生会議」は、まだまだ世の中に十分に広まっていません。でも、私たち一人ひとりが一歩踏み出すことで、大きな安心と納得のある未来をつくることができます。

ぜひ、家族と話すきっかけをつくってみてください。
その一歩が、あなたと大切な人の未来を、より豊かにしてくれるはずです。

下記の厚労省のページで人生会議について詳しく書かれているのでご覧になってください。

www.med.kobe-u.ac.jp

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